【ズボラ旅×旅工房スペシャル対談】旅の探し方の原点回帰、「誰かに聞ける」旅予約。ズボラ旅とコンシェル旅の背景にあるニーズ

2018.10.01

今、価格や目的地など、従来の方法にとらわれない旅の探し方が注目されている。チャットを使った人提案型の旅行予約サービスで一躍脚光を浴びた『ズボラ旅byこころから』を運営する株式会社Hotspring代表の有川鴻哉さんと、担当制のオーダーメイド旅を提供する株式会社旅工房統括マネージャーの平沢祐介さんにお話をうかがいます。

―「従来どおりの方法」で「すでにつくられた旅」を予約するのではなく、「自分ができる方法」で「自分らしい旅」を選ぶ人が増えています。そういうサービスや旅が求められるのはなぜ?

ズボラ旅:対面の旅行代理店がメインだった時代から、ここ10年ぐらいかけてOTA(オンライン上でのみ旅行の予約などを行う)旅行会社が急速に増えました。インターネットやモバイルでのやりとりが当たり前になり、急速に進化したからこそ、取り残されてしまっているニーズがあって、それを見直す時期にきていると感じます。

お客様が自分で調べられないことや気になることについて、窓口で気軽に相談できるのが対面の旅行代理店のメリットのひとつだと思います。しかし、OTAの急速な発展によって、その「知らないことや聞きたいことを気軽に聞く」ということができなくなってしまった人たちがいる。今までと同様に「知らないことや気になることを気軽に相談したい」。おそらくそれが、OTAというスタイルにおいても求められているニーズなのではないかと思っています。

「検索する=能動的に情報を取りに行く」というインターネットの使い方はスタンダードになりました。でも、何かの情報を得るためには、メディアの長い文章を読み込むくらいしか今はまだ方法がなくて、誰かに相談したらすぐにフィードバックが返ってくる、という体験が足りないのではないかと思っています。ズボラ旅のサービスは、「聞いてすぐに返事が帰ってくる」という特徴を生かしたチャットを使っています。「誰かに相談したら教えてもらえる」「すぐに答えが返ってくる」という今のインターネットになかったメリットが、お客様に受け入れられたのかなと思います。

SNSの流行からもわかるように、ここ数年でオンライン上での人との関わりが活性化しています。でも、それはあくまでパーソナルな部分であって、商業的な部分には定着していません。「オンラインサービスで体験できる人との関わり」が、商業的な部分にも入ってきていると感じます。

旅工房:旅工房でも「こうするといいよ」という誰かの意見が欲しい、おすすめして欲しいというニーズは高いです。インターネットでいろいろ調べるけれど、結局どれがいいのか迷ってしまって自分では選べない。だから、誰かに聞きたいと思ってお問い合わせしてくださるお客様は多いんですよね。旅工房の場合、ある程度目的や行き先は決まっていて、それをアレンジしたいというお客様が多いですが、やはり「ちょっと誰かに聞いてみたい」というニーズは共通していると思います。

 

―今、旅をしたいお客様はどんなことを考えている?

ズボラ旅:ズボラ旅では、平日に「週末どっか行きたいんだよね」とご相談を受けることが多いです。水曜とか木曜に思い立って、仕事の合間にチャットで質問を投げて、帰宅して提案を確認する。それを見て「あ、いいね」って思ったら予約して、土曜になったら実際に出かけるという流れです。

たとえば、土日でどこかに行こうと思った時に、週末に向けて自分で下調べをするって考えるとけっこう大変ですよね。なんだかんだ後回しにして、土曜の朝に調べだして、もう空いてるところがあまりないという状況になったり。ズボラ旅のお客様は、お休みの日にみっちり計画を立てるというよりは、平日になんとなく考えておいて土日にさっと出かけるという方が多いです。

自分があまり興味のなかった場所でも、実はここめちゃくちゃいいんですよ!とおすすめすれば興味を持ってくれるし、行きたいと思ってくれるんですよね。そこに、プラスαで距離や価格の提案をすれば、実際に「行く」ところまで進むんです。
おそらくそういう方たちにとって旅は、忙しい日常から切り離される非日常であって、それを体験するためにがんばって下調べをすることは、非日常とは真逆になってしまうのだと思います。旅に行きたいと思っていても、そこをがんばれないと実際に出発するまでに至らないんですよね。

旅工房:「ちょっと誰かに相談したい」内容が「自分にあったカスタマイズができるかどうか」であるのは、ズボラ旅と旅工房のお客様との違いかもしれません。旅工房のお客様には、自分らしい旅をすることにこだわる方が多くいらっしゃいます。フライトもいいし、ホテルもいい。いいツアーだとは思っているけれど、どこかが少しマッチしない。「既成の商品をほんの少しだけアレンジしたらもっと自分に合うのにな」というニーズからくる相談が多いのが特徴です。

 

―「週末どっか行きたい」「このプランをちょっと変えてほしい」。旅行を探すお客様が求めていることって?

■話を聞いてもらって一緒につくる。適度なオーダーメイド感

ズボラ旅:サービス開始当初、ニーズはある程度パターン化していくと考えました。だから「内容をしっかり構成したつくられた旅」を何パターンか用意して提案するスタイルをとっていたんです。でも、やり取りの中で「ここはそんなに興味がないからこっちに行きたい」「そんなに観光しないで宿でゆっくりしたい」など、想定していたよりもお客様のニーズが多様であることに気づきました。多様なニーズが集まりやすいのがチャットの良い所なのに、それを拾いきれていなかったんです。プランを固めたことで、提案の切り口のバリエーションが狭くなってしまった。そこでミスマッチが起きました。ただ、固めたプランが悪かったというより、ニーズを捉えきれていない要素で固めたプランが問題だったと思っています。

お客様のニーズについてデータが溜まってきた今、多様なニーズに応えられる要素で再構成したプランをつくっているところです。含まれる要素が充実したプランをもとに、お客様の意見を取り入れながら提案するようにしたことで、適度なオーダーメイド感のある提案ができるようになりました。お客様の満足度が格段に高まったことを実感します。

旅工房:「適度なオーダーメイド感」ってすごくいいフレーズですね。旅工房でよく受けるご相談も、ホテルを1日延泊したい、とか、仕事終わりに出発できるようにフライトの時間を1時間遅くしたい、とか、本当にちょっとしたオーダーなんですよね。でも、「決まりきったプラン」に自分が合わせにいくのと、意見を取り入れてもらえて自分が無理をしなくていい状況とでは、やはり満足度は変わってきますよね。

■会社のイメージにマッチしたコンシェルジュのプロフェッショナル感

ズボラ旅:ズボラ旅と旅工房のお客様では、コンシェルジュに求めるプロフェッショナル性に違いがありますよね。はじめは、ズボラ旅でもプロフェッショナル感を打ち出していました。でも、それがチャットの空気感といまいちマッチしなかったんですよね。そこで、親しみやすさや旅行好きな友達に聞いているような雰囲気を意識してみたら、「目的ははっきりしないけどちょっとどっか行きたい」とふわっと思い描いている段階の人に、気軽に話しかけてもらえる場になったんです。自分に合った旅がしたい!ちょっとこだわってみたい!と思っている時は、旅工房のようなサービスを利用してもらうのがいいんだろうなと思います。

旅工房:そうですね。旅工房では、そのエリアに特化したコンシェルジュがガイドブックにも載っていないようなプランを提案できるのが強みです。一緒にプランをつくると、サービスを提供する側にもメリットが生まれますよね。お客様に「ここに行きたいんです!」って相談されて、そこが自分たちも知らない穴場スポットだった場合、勉強する機会になります。実際に訪れた感想をお客様に聞いて情報がアップデートされると、ほかのお客様にアウトプットすることもできる。日々情報を新鮮に保つことができます。

■期待しているサービスの上をゆくプラスαのお得感

ズボラ旅:僕自身が旅好きということもあり、昔から窓口では、担当者によって提案の質が変わったり、好みに合わなかったりすると感じていました。サービスの質が一定でないと感じていたんですね。だから、このタイミングでこんな質問をする、など、全メンバーがベースで行うフローを用意して、人によって提案の質が大きくブレることのないようにしています。その上で、個々のコンシェルジュの知識を上乗せできるようなシステムをとっているので、向こう側に人がいるという安心感を確保しつつ、提案の質も確保できるようにしています。

僕らのサービスの強みは、お客様とのやり取りが残り、蓄積された情報をコンシェルジュ全員が簡単に共有できることです。履歴を見るだけで、お客様の求めていることにどのコンシェルジュでも対応できるんです。だから、途中で人が交代することも可能です。たとえば、「子ども連れで海に行きたい!」というお問い合わせがあった場合、実際に子どもがいるコンシェルジュに交代してやり取りを進めることが違和感なくできるんですね。交代した後のやり取りもログ(情報)として溜まっていくので、それを全員で共有すれば、次に似たご相談があった場合に同じように対応できる。インターネットでサービスをする以上、サービスの質が一定であることはとても重要だと思ってます。

旅工房:旅工房のコンシェル旅は、はじめに応対したコンシェルジュが出発まで担当する専任制なのが特徴ですが、、出発前からご帰国後まで、1人のコンシェルジュがお客様とやりとりをするので、お客様とパーソナルな関係を築くことがくことができます。それは、お客様にとっての大きなメリットだと考えています。対話の中で「同行者が誕生日」とか「実はシーフードが苦手なんです」というような、お客様の細かな情報や、旅行をするにあたってのバックグラウンドまで聞き出すことができるからです。一般の旅行会社ではおそらく聞き出せないようなところまで語る気持ちになってくれるので、それが信頼関係やよりお客様に合う提案につながることが多いんですよね。

―ズボラ旅とコンシェル旅。それぞれが「本当に提供したい旅」とは?

ズボラ旅:「あっ旅に行きたい」という思いつきが、会話になり、旅に行ってきたという体験になる、というのが僕らの本来やりたいことなんです。「なんか疲れたしどっか行きたいな」と思いついたタイミングでサービスを利用してもらい、お客様自身があまり手をかけずに旅が実現できることを目指しています。

最近、当日予約のサービスも始めたのですが、かなり反響をいただいていています。たとえば、「今日これから箱根に行きたい!」というお客様に、おすすめのホテルやその周辺情報をお教えするのですが、それがかなり好評なんです。やはり、実際に思い立ってから腰を上げるまで、自分で情報を調べて、予約をして、行くって大変ですよね。そういう「思いつき」を、できるだけ早く「旅」という形にしてあげる。それが僕らの事業の根幹だと思っています。

旅工房:旅工房の場合、ズボラ旅よりも、旅を予約する気持ちが強いお客様が多いかもしれません。自分で簡単に旅の予約ができるようになった時代だからこそ、お客様には、ご自身では気付けないような「想像を超える旅」を提案していきたいと思っています。問い合わせの段階で、「これがベストだ!」というプランをお持ちのお客様もいらっしゃるのですが、専任制でエリアに特化しているコンシェルジュだからこそ、もっといい観光地があるのに!もっといい回り方があるのに!という部分が見えることがあります。やりたいことや行き先が決まっているお客様に、それを超えるアイデアをいかに提供できるか。それが旅工房の目指すところだと思います。もっといいプラン、より充実した行程、お客様の知らない新たな情報を提供しつづけていきたいですね。

 

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