あなたが旅をしたいのはなぜ?見えないニーズを引き出すトラベル・コンシェルジュの接客術

2018.10.01

9年来のリピーターのお客様もいるという、アメリカ担当シニアコンシェルジュの村田エリカさん。担当エリアが変わってもお付き合いの続くお客様にどんな接客をしているのか、なぜそのような案内ができるのか。他エリアのコンシェルジュも気になっているというその接客術について聞きました。

お客様の喜ぶ顔が好き。仕事を選ぶきっかけは自分の特技から

学生の頃、イタリアンのお店などでアルバイトをしていたのですが、その頃から接客が楽しかったし、好きだなと感じていました。外国語学部の英語コミュニケーション学科に所属していたのですが、卒業論文のテーマにはホスピタリティを選んだくらい、人を喜ばせることに興味があったように思います。また、旅行好きな母の影響で小さい頃からよく海外旅行に連れて行ってもらっていて、私自身も旅行が大好きだったので、ホスピタリティに観光学を融合させて書きました。就職活動は、第一希望が旅行会社だったのですが、ほかに受けていた会社も接客業ができる職種があることを基準に選んでいましたね。それから、あまり組織が大きすぎず、私がやりたいことができそうなところにこだわりました。なるべく現場で、お客様に触れていたいと考えていました。

サプライズ企画専門の部署を作りたかったから旅工房を選んだ

私はアルバイトをしていた学生の頃からお客様を喜ばせることが大好きだったので、サプライズでお客様を喜ばせる、サプライズ企画専門のセクションをつくりたい!という夢を持って旅工房を受けました。その時考えていたのは、コンシェルジュひとりひとりが自由に使える予算が与えられて、自分の判断でお客様にサービスできる制度です。お客様との会話の中でヒントを得て、喜んでもらえるようなオプションを無料でサービスしたり、ホテル到着時に内緒でプレゼントを用意しておいたり、自由にサプライズ企画ができるというイメージです。今はもう、実際に旅工房の制度のひとつとなり、文化になってますが、当時はそういった制度も文化もありませんでした。それをこの会社でやりたいと思っていたんです。お客様から電話がかかってきて希望の日程を聞いて予約する、という一般的な旅行業務の流れよりも、プラスαの喜びと驚きを提供することに特化した業務に興味があったのだと思います。一人ひとりのお客様の旅行と喜ぶ顔を想像して、わくわくすることがコンシェルジュの仕事の醍醐味だと思います。

せっかく海外旅行へ行くのであれば、思い出に残る旅行にしてほしいです。コンシェルジュの仕事は、サプライズだけに特化しているわけではありませんが、お客様一人ひとりの思いを汲み取って、旅行のお手伝いをするのが楽しいなと常に思っています。

大変なことはある。でもお客様の見えないニーズを見つけてあげたい

旅工房のお客様とは、電話とメールで連絡をとりあうことがほとんどです。顔が見えない分、特に電話は、こちらのテンションや気持ちがすごく伝わりやすいです。はじめは旅工房にあまり興味がなさそうでも、こちらが投げかけた質問でお客様が心を開いていく様子がわかると、よし!と思います(笑)。「こういうことできるの?」という問いかけに「できる」と答えることができれば、そのお客様はもう予約につながります。多くのお客様が「自分でこんな旅行がしたい」というイメージを実は持っているのに、それが実現できるのかどうか、どこに頼ったらいいのかわからない状況にいることが多いのではないかと思っています。それを誰かに見つけて欲しい、実現できるようにサポートして欲しい、と感じているのだと思います。

見えないニーズを引き出すには、誰もしないような質問をしてみる

一般的な接客では、販売する商品に関する話、いわゆるセールストークを先にすることが多いのではないでしょうか。でも、私はよりパーソナルな質問を先に投げかけるようにしています。たとえば、「誰と行くのですか?」とか「今回の旅行はどんな旅なのですか?」とか。それから、お客様とのやりとりに「仕事」と「友人」の中間の雰囲気を出せるように意識しています。あまりフランクすぎてもよくないですし、もちろんお客様それぞれに合わせて、相手が少し硬派な雰囲気を好む場合はそうしてみたり、ちょっとでも笑声が聞こえたら笑声で返したりとか。ずっと接客が好きってすごいね、といろんな人に言われるのですが、そういうさじ加減ややりとりが好きだな、楽しいなと感じますね。

見えないニーズを感じ取るために、お客さんになってみる

普段から、良い接客はどんな接客なのか、私自身もお客さんになってみて、お買い物や食事に出かける際にいろんな接客を受けるようにしています。メールもしますし、電話や来店で問い合わせすることもありますよ。接客を受けながら、お客さんのニーズにうまく答えられないことが起きた時、この人はどんな代案を出してくれるんだろうとか、よく見るようにしていますね。メールの返信では、お客様が返信しにくい書き方、しやすい書き方がよくわかります。お客様に返信しにくいメールを送ってしまった場合、もうそのお客様から連絡はないと思っていいと思います。それから、気軽に聞いていいんですよ、という雰囲気を、接客する側が演出すことも大事ですね。たとえば私は、一緒に行く同行者になったつもりで、常に親身になりメールの返信をしたり、電話で応対したりするようにしています。同行者だったら、どんな旅にする?どこ行く?何したい?と気軽に話し合いますよね。その問いに答えるような提案をあらかじめ入れておくと、お客様が「へえ~」と興味を持ってくれて、コミュニケーションを続けるきっかけになります。まだまだ研究中ですが、自分がお客様の立場になって質問を投げたり答えをもらったりすることは、とても役に立っていると思います。

見えないニーズが見えるようになる、お客様が想像しやすい提案のしかた

旅行会社って、よく『こんなプランです』と日程を羅列しただけの提示をされることがありますよね。でもそれでは、現地での時間配分が分かりづらいお客様がほとんどだと思います。そこで私は、お客様が自分の旅行を想像しやすいように、モデルスケジュールをご提案します。羽田を何時に出発して、現地には何時に着いて、オプションのショー見たら夕方何時になって、そのあと何時まで食事して・・・というように、具体的なスケジュール案を細かく示して差し上げます。すると、もっと長く滞在できそうだから、出発を何時の便に変更できますか?など、お客様が自分で自分の要望に気づいて質問をしてくるようになります。お客様のニーズをこちらに見えるように導くことによって、お客様自身も自分のニーズが見えるようになるのかもしれません。

無理はしない。少しずつ信頼してもらいながら、お客様と一緒に旅をつくる

私が苦手なケースは、こうしたい!というニーズが見えないお客様。ニーズが隠れているお客様はそれを引き出してあげるだけでいいのですが、何も決まっていないけれど旅行がしたい、と問い合わせをなさるお客様もいらっしゃいます。その場合、どんな旅行をしたいのか、まずはお客様に決めていただくようにしています。その段階でこちらが無理にがんばって、お客様の満足度が低くなってしまっては意味がありません。たとえば「何日までに同行者様と相談して連絡をくださいね」と期限を切って、順番に、具体的に、やっていただきたいことをお願いしていきます。行き先を決めて、やりたいことを決めて、そのあたりから少しずつ中に入って私の提案をプラスしながら旅のプランを完成させます。

最近ではSNSなどで多くの情報が出回っているため、お客様のほうが現地の情報に詳しいこともあります。実際に行った場所のことはお話できますが、行ったことのない場所は時間配分などを予想することしかできません。そういう時は正直に、「行ったことがないので、行って感想を聞かせてください!」とお願いしてみたり、「その情報はどこから入手したのですか?」と聞いたりしています。そうやってお客様からいただいた情報は「ほかのお客様が行ってとてもよかったとおっしゃっていましたよ」とさらに別のお客様へご紹介できるので、情報収集はお客様にもお手伝いしていただいてます。知らないことやできないことは正直にオープンにしたほうが、お客様からの信頼も得やすいように感じます。

どんな時にもお客様に選択肢を与える。最終的にはより良いほうを選んで欲しい

言われたままに業務を進めることは、実は難しくないことです。でもそれはあまりやりたくない。ほかにもっと良い選択肢があるのに、良い選択じゃないものを希望するお客様もいらっしゃるからです。もっと良いプランがあるなら、良いプランのほうを選んで欲しい。どんな時にも常に良いほうを選択できるように、質問の投げ方やニーズを見つけるコミュニケーション技術をもっともっと磨いていきたいです。今、コンシェルジュ力をずっと磨いていけるキャリアプラン『シニアコンシェルジュ』を推奨していきたいと考えています。管理職についてしまうと、セクションの管理をすることがメインの業務になり、お客様に直接触れる機会はほとんどなくなります。私のように、コンシェルジュ職を極めたい人がそうできるよう、シニアコンシェルジュをもっと増やしたいと思っています。それがお客様の満足度につながると思いますし、その満足度がリピーターの増加にもつながると思うからです。技術(接客能力)の高いシニアコンシェルジュがお客様に寄り添うことで、帰ってきた時から次の旅を旅工房に相談してしまうような、そんな良いサイクルが生まれればいいなと思っています。

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