【日本-フィンランド外交関係樹立100周年記念インタビュー】フィンランドの「サステナビリティ」とは?

2019.02.06

2019年、フィンランドと日本は外交関係樹立100周年を迎えました。それに際して、旅工房はVisitFinlandに協賛していただき、記念ツアーを企画しました。ツアーのテーマにVisitFinlandが選んだのは、「サステナビリティ」。まだまだ日本では聞き慣れない「サステナビリティ」という言葉。実は、フィンランドではとても自然なこととして広がっています。

「サステナビリティ」とはなにか?VisitFinlandの沼田晃一さんに教えていただきました。

2019年に外交関係樹立100周年を迎える、フィンランドと日本。これまで、どのような文化を伝えあってきましたか?

フィンランドと日本はこれまでも数々の文化を伝えあってきました。例えば、フィンランド人は日本から伝わったカラオケが大好きですね。ヘルシンキにあるストックマンという大きなビルの、隣のビルの地下に、150人くらいが入るカラオケボックスがあって、フィンランド人にとって、とても人気のスポットとなっています。

また、フィンランドから日本に伝わったものとしては、まずは、誰もが知っているアニメーション ムーミンがありますね。実は、原作者のトーベヤンソンは、日本の画家北斎の影響を受けているという説もあり、ムーミンというひとつのアニメーションをとっても、日本とフィンランドとのつながりが伺えます。アニメーションと言えば、日本のアニメ文化は、もちろんフィンランドにも伝わっています。今では、年に1回アニメーションのイベント「Tracon」がタンペレで開かれており、フィンランド中から、アニメ好きが集まってきます。そこにいくと、日本のアニメーションのキャラクターのコスプレをしたフィンランドの人々や日本のマンガに出会うことができるんですよ。

外交関係樹立100周年を迎えるにあたり、どのようなことを思いましたか?

フィンランドは、2017年12月に独立100周年を迎え、また、2019年に日本との外交関係樹立100周年を迎えます。つまり、フィンランドが1歳のときに外交関係を結んだ日本は、フィンランドにとって、政治的にも、文化的にも最も大切な国のひとつなんですね。そのこともあって、フィンランド人はとても親日的です。また、フィンランドは、フィンランド航空を利用したアクセスのしやすさから、「日本から最も近いヨーロッパ」と言われており、日本人にとっても親しみやすい国ですね。

それだけでなく、フィンランド人と日本人はどことなく、似ているところが多いなぁと思っています。例えば「考え方」というところだと、自然観も、自然に対して畏敬の念があるというところで近いものがありますし、フィンランド人の”もの”を大切にする姿勢は、日本の「もったいない」という考えと近いところがありますよ。古着のマーケットが盛んに開かれていたり、長く使うことを前提につくられたインテリアのお店があったりして、フィンランドに行くと、日本の古き良き文化みたいなものを思い出しますね。

また、「人柄」というところでも、フィンランドの人と日本人は似ているところがあって、シャイなところや、人と人との距離感も似ているような気がします。共通点として面白いなぁとおもうのが、フィンランド人にとって生活の一部であるサウナと公衆サウナが、日本のお風呂と温泉が似ているところで、どちらの国も裸の付き合いを重視しているところがあると思うんですよね。人と人との距離を一定距離おく国民性が作り出した、開放的な空間でオープンに話すことができる特別な空間が、サウナであり、温泉なんだろうなぁと思っています。

公衆サウナの話ですと、今フィンランドでは、家と職場以外の「サードスペース」として公衆サウナの人気が再燃していて、日本でも「サードスペース」としてのサウナがじわじわと広がっていますよね。

一方で、異なる国民性として、フィンランドにはポジティブグーフィーというキャラクターがあって、上手く日本語で表現するのが難しいのですが、フィンランド人はハメを外して思い切り遊ぶことを、面白いと思っていて、そのことにプライドも持っていますね。私は2018年4月にフィンランドに関する仕事を始めたのですが、意外だなと驚いた部分ですね。例えば、ポーラーベアピッチングという、極寒の湖の中に浸かっている間だけプレゼンができるというビジネスコンテストだったり、テントサウナを誰が最も早く温められるかを競うサウナヒーティングチャンピョンシップなどのイベントも、ポジティブグーフィーが現れているものだと思います。

これまでは、VisitFinlandとして、フィンランドの美しい部分を伝えてきたきたのですが、これからはそんなフィンランド人の意外な一面である、ポジティブグーフィーなところも伝えていって、よりフィンランドを身近に感じていただけたらと思います。

また、フィンランド人は日本について、よく、ファンクショナル(実用的、機能的)という言葉を使って話します。電車がきちんと時間を守って到着したり、街が綺麗に整えられていたりすることについて、フィンランド人は機能的で心地よいと感じるようです。似たような文化や考え方も多いフィンランドと日本ですが、異なる文化についても、お互い憧れ合えるような関係にあります。2019年、いよいよ外交関係樹立100周年を迎えましたが、これからは後者も踏まえて、さらに交流を楽しんでいけたらと思いますね。

 

今回、旅工房では100周年を記念して、VisitFinlandと一緒に100周年記念ツアーを企画することとなりました。そこでVisitFinlandが選んだテーマは「サスティナビリティ」ということですが、そもそも「サスティナビリティ」とはなにか、教えてください。

「サスティナビリティ」は、直訳すると「持続可能」という意味で、今できていることをそのままの形で持続していくということですね。例えば、スーパーでは輸入食材が安く販売されているのですが、それよりもフィンランドの人々は、4割ほど高いオーガニックな食材を選んで買いますし、レストランでも「この鳥は地元で採れたものです。」と産地が書いてあることが多く、フィンランドの人々はそれを見て、レストランを選んだりするんです。どこで採れたものなのか、地球や自然に優しいものであるかを重視するんですね。また、飲みおわったペットボトルなどはスーパーで売ることができるなど、リサイクルへの関心も高いです。

このマイボトルは、私がルカに行ったときにいただいたものです。「ルカの川や湖の湧き水はそのまま飲むことが出来て、凄く美味しいですよ。これを使って飲んでみてね。」と言って渡してくれました。これはまさにサスティナビリティで、使い捨てのペットボトルと使わないことで、自然を美しく保つことができて、だからこそ、湖の水をそのまま飲むことができるんですよね。

フィンランドでは自然享受権という法律があります。自然はみんなのものという、フィンランドの古くからの考えに基づいて制定された法律で、所有者を知らない土地でも、自然に危害を与えないことを前提に、誰でも自由に散策してよいという法律なんですね。自然はみんなのものという考えがあるからこそ、国民みんなでサスティナブルな生活ができているんだと思います。

様々な魅力をもつフィンランドですが、今回「サスティナビリティ」をテーマとして選んだ理由はなんですか?

近年、日本や世界で自然災害が起こっていて、もう待った無しというところも越えてしまっていると思うのですが、これからも地球を維持していかなければならないというところで、私たちとしてどのような取り組みができるかなと考えたことが元にあります。

2015年に国連でサミットで、Sustainable Development Goals、略称として「SDGs」と呼ばれる、持続可能な開発に向けた目標というのが採択され、各国がどのようなことができるかということを考え、取り組みを始めたのですが、日本では、まだまだ「サスティナビリティ」という言葉が聞こえてこないんですね。一方で、フィンランドの場合は、各業種や教育に入れ込むなど、推進国として取り組んでいるんですね。ただ、自分たちだけでは足りなくって、世界を巻き込んで取り組んでいかなければならないと考えていて、その方法として選ばれたのがツーリズムだったんです。ツーリズムの場合、サスティナビリティを知識としてではなく、体験を通して、価値観や考えとして伝えられるというのが、ツーリズムが選ばれた理由です。なので、今回のツアーのテーマとして「サスティナビリティ」を選んだ1つ目の理由は、日本にサスティナビリティの価値観を伝えるためということになります。

次に、2つ目の理由として、今度はフィンランドのためということもあります。フィンランドの中にも過疎化が進んでいる地域があって、この地域の過疎化を食い止めるため、この地域を持続可能なものにするためにもツーリズムが生かされています。例えば、今回のツアーでも訪問するルカという地域も、過疎化が進んでいる地域のひとつでした。

ラップランドの話ですが、トナカイを食用として育てていたの牧場が、食文化が変化してきたことによって、家畜業として成り立たなくなってきてしまっているんですね。これに対して、トナカイ牧場を観光地としてツーリズム化することで、観光業として成り立ってきたんです。そういう意味で、ツーリズムは、フィンランドの持続可能にも繋がっているんですね。

すでにフィンランドでは、サステナビリティの連鎖が広がりつつあって、特別なことでもなければ、難しいことでもなくって、とても自然で、かつシンプルなことになっています。それは、フィンランドの人々が自然と隣り合わせて生きているからだと思っていて、自然の大切や美しさを、フィンランドの誰もが共通して理解しているからこそ、サステナビリティな考え方が当たり前のものとなって広がっていると思うんです。

フィンランドでは、例えば首都のヘルシンキにいても、山が見え、自然を近くに感じることができますし、お土産を買うとき、食事をするときに、それがどこで採れたのか、どのように作られたものなのかなどを知り、サステナビリティにふれることができると思います。つまり、今回のツアーに行くことで、誰でも、自然とサステナビリティの連鎖のなかに、ストンと入り込むことができるんですね。「サステナビリティとはなにか。」と言葉で学ぶよりもナチュラルに、サステナビリティについてとその価値を理解することができると思います。

今回のツアーのどのようなシーンでサステナビリティを感じることができますか?

今回のツアーの中で宿泊する、ルカのイソケンカイステン倶楽部というホテルは、家族経営のホテルで、代々家族で引き継ぎをしながら、ずっと経営を続けていくことができるそのスタイルが、まさにサステナビリティと言えます。

また、イソケンカイステン倶楽部では、ベリー摘みやきのこ摘み、大自然の中でのセラピーなど、フィンランドの自然を満喫できるアクティビティも多くあり、それぞれのアクティビティの中でもサステナビリティにふれることができます。

それから、ホテルでいただける食事は、地元の食材を使用しており、このホテルに泊まれば、誰でもフィンランドのサステナビリティの連鎖の一部になることができます。

またルカ以外の地域でも、レストランや市場、交通など、様々なシーンでサステナビリティにふれることになると思います。

例えばフィンランドには、公共交通機関をより便利にすることで、排気ガスを排出する乗用車を減らそうという考えのもと、「whim(ウィム)」という交通情報が集約されたアプリの使用が広がっています。旅工房のトラベル・コンシェルジュに相談してみながら、フィンランドで暮らすような旅ができれば、より多くの場面でサステナビリティにふれることができると思いますね。

これからのフィンランドについて…

「まずは、やってみよう」という姿勢がフィンランドにはあって、これからも小国ながらのユニークさを持って、新しいことに挑戦し続けるのではないかと思っています。ただ、そんななかでもサステナビリティというテーマは、失われることなく、生き続けると思っていて、それは、フィンランドの人々が自然の偉大さ理解していて、フィンランドの自然や、それを守り続けることについてのプライドを持っているからなんだと思います。

変わらずに、変わっていくフィンランド。彼らが彼ららしく居続けることができるように、サステナビリティの輪をツーリズムの力で世界に広げていきたいですね。

旅工房のフィンランド旅

 

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