振り返ってみたら旅をしていた。旅するように生地を追い求める、マザーハウスのモノづくり

2019.04.16

今回は、発展途上国でバッグやシャツなどのアパレル商品をつくり、先進国で販売をするブランド マザーハウス 田口ちひろさんに、旅とモノづくりのお話を伺いました。

まずは、マザーハウスについて教えてください。

マザーハウスは途上国でモノづくりをして、それを直営で日本、香港、台湾、シンガポール(4/11オープン予定)で販売しています。私は、その中でもシャツやストールなど、糸から作られるものを担当しています。業務内容は、まだベンチャーというのもあり多岐に渡っていて、現地でどういったものを作るかという企画の段階から、品質管理、そして、実際に作ったものを作った後にお店でどのように売るかというところまでを一貫して統括しています。

バッグはもう13年目になるので割と生産も現地に任せているのですが、こちらのファブリックと呼ばれる事業は、まだまだ立ち上がったばかりの段階です。モノを作ることがスムーズに行かないので、今は現地に張り付いて「モノをつくること」に集中していますね。

途上国でモノづくり、なんだか旅の香りがしますね…。田口さんがマザーハウスで働くことになったきっかけを教えてください。

学生時代から、途上国のボランティアや開発に興味がありました。また、旅もすごく好きでよくバックパッカーをしていたのですが、より深く現地を知ることができる旅がないかなと思って、アフリカのウガンダにボランティアに行ったんです。3週間くらい現地に滞在して行うボランティアだったのですが、実際行ってみたら、ボランティアと言ってみたもののアウトプットとして、成果として、できたことが少なすぎて…。ただ一方で、貧しいと言われているからといって、短絡的にお金を渡せばいいというものでもないし。やっぱり、働くことが人の成長につながると考え、援助という形ではなく、仕事を通じて途上国と関わりたいと思っていたときに、たまたま見つけたのがマザーハウスでした。

もともと途上国に興味があったんですね。旅先としても途上国に行かれることが多かったのでしょうか。また、どのような旅をしていましたか。

旅先は途上国先進国問わずいろいろなところに行きましたが、なかでも印象的だったのが、西アフリカのシエラレオネでの旅ですね。シエラレオネはこれから発展をしていく国で、そこで暮らす人々も、貝塚が残っていたりと昔ながらの生活をしています。情勢も安定せず、当時も内戦があったんですけど、内戦でギニアに行って亡命していた人に、「どうやって行ったの?」と聞いたら、「星座を見ながらギニアの方向に行ってた。」という話を聞いたりもしました。こうやって、本などではなく、実際に自分が旅をしたから知ることができたリアルな話などが、私の場合はずっと心に残っていますね。

なるほど。確かに現地に行ったからこそ得ることができたものは、特別大切なものになりますよね。

そうですね。それは今の仕事でもそうで、モノづくりをはじめるときは実際に現地に行くことが多いですね。例えば、お土産やさんに行って気になる生地を見つけたら、お土産やさんに「どこの工場で作られているのか」を聞いて、今度は工場に行って職人さんのお話を聞いてと、リアルな情報を追いながらリサーチをしています。振り返ってみると旅をしているみたいですね。

現在はどのようなモノづくりをされているのですか。

今は、インドのカディという生地を作り、さらに、その生地からストールやシャツを作っています。カディは、もともとインドがイギリスの植民地だった時代に、外国に頼らずに自分たちでインドにある素材だけでモノづくりをして独立していこうよ、という背景の元、ガンジーが復興させたという生地なんですね。当時と変わらない、手紡ぎ・手織りで今もなお残っている、とても貴重な生地なんです。

インドの工場で働かれているとのことですが、難しさはありますか。

難しさはたくさんあるんですけど、1番は品質の考え方かもしれないですね。例えば、シャツ1つについても、縫えていればいい、繋がっていればいいとなってしまいがちなのですが、私たちが求めるものはそれがいかにきれいな縫製か、なんですね。ひと目ひと目にもこだわるんです。ちょうど先週ずっとシャツを見ていたんですけど、だんだん縫製の目が変わってしまうんです。すごく大きくなったり、小さくなったりしてしまって、私たちからすると「なんでそうなったの?」と信じられないんですけど、彼らからすると「そこは縫えている」という視点になっていることもまだあるので、そこの視点のすり合わせというか、どうして縫製がここまできれいじゃないといけないのかは、なかなか伝えるのに時間がかかりますね。何度も何度も伝えて、「私たちが目指すのは最高のものなんだよ」と何度も話して、やり直しをしてもらって…。一度受け入れてしまうとそれでいいんだと思われてしまうので、それは絶対にやり直してと、お願いしていますね。

ただ一方で、インドでやるからこその魅力もあります。例えば、新しいデザインを考えるときに、チェックの生地で新しい試作品を作っていると、何も頼んでいないのに「ここはまっすぐで、ここだけちょっと斜めに…。」と、彼らの中で工夫をしてくれているときがあって。「えっ、なんでそうしたの?」と聞くと「絶対そっちのほうがかっこいい!」と言って、彼らの中でのオリジナリティ、クリエイティブなアイデアを出してくれることもあるんです。日本だと、言われたことを丁寧にやろう、という思考になることが多いと思うのですが、そうではなくて、彼らが美しいと思ったものを職人として提案してくれるのは、インドでやる魅力のひとつですね。

まずは、ファッションとして価値を感じていただくことが1番だと思っているのですが、それが実は手作業で作られているということや、その背景には伝統的なストーリーがあるということ、世の中に溢れているたくさんのものには、それぞれ作っている人がいるということ、つまり、作り手である彼らのことも、お伝えしていけたらと思っています。

今もインドで奮闘する田口さんですが、最後に今後についてお聞かせください!

去年の11月に始まったばかりなんですけど、旅に持っていきたいもの、トランクにいれたいものというコンセプトで、服をフルコーディネートでお届けできるモノづくりを始めているんです(https://www.mother-house.jp/fabric/)。トータルでコーディネートできるというとすごく色んな可能性があるので、色んなアイテムをお客様に届けていきたいですね。たくさんの種類を作るというよりは、丈の長さや、細かいディティールにこだわって、ひとつひとつ丁寧に作っていきたいですね。消費される服ではなく、おばあちゃんになっても使えたり、親子で使えるなど、新しいお洋服のスタイルをお届けできるようになりたいなと思っています。将来的には、パリコレに出て、ヨーロッパでお店を出したいと思っています。

一覧へ戻る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

一覧へ戻る

RELATIVE POSTS

Page Top

FOLLOW US

INSTAGRAM

ABOUT

旅行会社旅工房が、「旅」とはなにかを見つめていくWEBメディアです。
旅の作り方、旅の探し方、旅そのものが大きく変わり始めた今だからこそ、
私たち旅工房は、時に出会い、時に挑戦し、時に感動し、時に考えながら…
まるで旅をするように、「旅」を見つめていきます。

MEDIA